社訓:『新たなる幸福カンパニーをめざして』
お客様の前でなかなか言いづらいのですが、「一番大切なのは社員」です。
社員の満足度が低いとそれは商品にも表れ、結果お客様にとっても良くない。ただ、働く社員に仕事を好きになってもらいたいと思ってもそれは難しい。なので、せめて働きやすい環境は会社として整えようと思いました。
例えば、産休明けの社員には子供が3歳になるまで、月オムツを支給しています。一度は子供手当のような支給の仕方も考えましたが、そうすると結果それでオムツを買ったとしても買い物の荷物にもなりますし、だったら仕事帰りに持って帰れるほうがいいのかなと。あとはやっぱり現物でお渡しした方が、喜んでくれるかなと思ってます。
また、社員が休みやすい環境整えること、残業はできる限り少なくしたいと思っています。。
どうしてもこの業界は残業が多くなってしまう傾向があります。しかし、それで社員が辞めてしまったら元も子もない。だから社員の働きやすさを考えた時に、この二つの課題を解決していかなければと思いました。まずは月に一回のノー残業デーから始まり、今ではどんなに忙しい時期でも週2回のノー残業デーを設け、有給も半日ごとに使用できるようにして子供の急用などの際にも休みやすいような環境になっています。
会社の強み:他社ではできない技術力と実現できる体制づくり
会社の強みとしては主に3つあるかと思っています。
1つ目は小ロットの発注でも対応が可能なことです。これは主にサンプルを作成できる社員が3名いることに加え、製造のラインが複数設けられているためです。
2つ目は難しい素材でも対応可能な技術力。特にこの工場ではシルクや、オーガンジーなどの素材の商品の依頼を受けることが多いです。というのも創業時はいわゆる一般的な素材は大きな工場で大量に作られる。そうすると、その工場は難しい素材を扱うキャパシティもなければ効率が悪くなるからと扱うこともしない。その結果、そういった難しい素材を自社で扱うことが多くなっていったんです。なので、これは歴史とともに培ってきた強みかなと思っています。
3つ目は各部署の責任者がお客様と直接やりとりをしていることです。社内の部署は企画や製造、物流などがあるのですが、通常だと工場には営業担当がいてその人が各取引先とやり取りをしながら、社内の各部署へ落としていくというケースがほとんどです。ただ、そのやり方だとどうしてもコミュニケーションを取るのに複数人が介在してしまい、時にはミスコミュニケーションも発生する。だとすれば、担当者間で直接やり取りとしてもらった方がいいのではということで、今では各担当者が直接お客様とやり取りをしています。その結果、以前よりも格段に対応できるスピードは上がりましたし、それをできるのは信頼できる社員がいる証だとも思っています。
社員への教育:ジェネラリストを育成していく
弊社に入社していただいた社員は、入社後最大3ヶ月間「社内塾」と評して付きっきりで指導する体制をとっています。この期間では、ミシンの仕組みや品質表示、実際の作業など様々な工程を指導します。もちろん経験者の方であれば、すぐに卒業する方もいらっしゃいますが、ほとんどの方が3ヶ月もすると慣れてきて、得意なところを見極めながら配属していきます。
また、入りたての社員の方以外も頻繁にラインの異動をしてもらっています。実はこれが業界的にはかなり珍しいようで、一般的な工場だと入社して配属になったラインの工程をずっとやり続ける。むしろそれ以外の工程は全くやらない。でも、我々の工場は毎月のようにラインの人員の異動をします。なぜこのようなことをしているかというと、意図としては2つあって1つ目は様々な工程を知ることによって商品の理解度、会社の理解度が深まると思っています。2つ目は緊急時などにも対応できるようにしたかった。特に働く社員はお子さんをお持ちの女性が多いので、子供の急用で会社に急遽これなくなってしまうことがある。それで、生産に支障がでてしまうと、会社としても損失ですし、社員も休みづらくなってします。だから一人が様々な配置の仕事ができる言わばジェネラリストを多く配置することで柔軟に対応できる体制をとっています。
全く違う業界から代表へ:代表取締役 伊藤秀徳
私自身出身は鶴岡市ですが、大学進学で東京に行きました。
その後地元に戻ってきて銀行員として働いていた時に、担当させてもらっていたのがこの会社でした。そのご縁からここへ入社することになったので、全く畑違いのところから飛び込んできました。ただ、その時から不思議と不安はなかったです。その当時はちょうど時代とともに企業としてのあり方を模索しているところでした。その為、むしろこの業界の常識を知らなかったことが功を奏したところもあったのかと思います。
自分も東京にでたUターン者の一人ですが、東京に行った経験は今でも残っていますし、子供が東京に行きたいと行ったら喜んで背中を押します。そこで、たくさん学んで、価値観を広げながら戻るかどうかはその時に本人が判断すればいいと思っています。自分自身はこの庄内は子育てには非常にいい環境ですし、今はこの会社でこの社員と一緒に働けていることが楽しい。
これからは自分の後継者を作っていきながら更に社員満足度を高めてまいりたいと思います。