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まじめに挑戦、ものづくり

テイカ製薬株式会社 / 品質保証職(薬剤師)

インタビュー記事

更新日 : 2023年06月19日

Trust &Safetyをロゴマークに掲げるテイカ製薬。そこには、医薬品づくりにおいて最も大切な「信頼」と「安全・安心」を全社員の指針とし、お客様に約束していくテイカ製薬の思いが込められている。

 

今回は新卒でテイカ製薬に入社し、2回の産休・育休を経て、現在はテイカ製薬初の女性執行役員となった女性社員のインタビューをお届けする。


 

執行役員 信頼性保証本部

武田有紀

入社29年目

テイカ製薬株式会社 事業概要

終戦直前の1945年6月、2つの製薬会社が合併し、帝国化成株式会社(現・テイカ製薬)が誕生した。転機となったのは1990年台。大手製薬メーカーとの共同開発で新薬を発売した。それ以降、医療用医薬品の受託開発が増え、2010年には第一薬品と合併し、さらに生産の規模も増大。海外輸出の割合も徐々に増え続けている。

 

富山県に数ある製薬企業の中で、テイカ製薬ならではの特徴。それは「研究開発」にも注力していることだ。テイカ製薬は、創業当初からの想いである“優れた医薬品を世の中に提供する”という開拓者精神を大事し、得意領域である皮膚・眼科領域を中心に研究開発を続けている。産学連携による大学や研究機関との共同開発やベンチャー企業との共同開発がいくつも実施されており、富山県内の製薬会社ではトップクラスの特許取得数を誇る。

 

働きやすさにも注力している。時短勤務は子どもが小学3年生まで適用。本人が病気になった際は、100日を上限に過去に取得した有給休暇を積み立てして使える制度や育児・介護で離職しなくてはいけなくなった社員の再雇用制度も充実している。それらの取り組みもあり、女性比率は非常に多く、約6割。勤続年数も長く、長く働き続ける女性が非常に多い。女性管理職も20%を超えている。

 

社内でのコミュニケーションも活発だ。サークル活動が活発で、一定程度のメンバーがいるサークルには会社から活動費用を助成。部署を超えた社員のコミュニケーションにもつながっている。

 

医薬品としての土台である信頼と安全・安心を大事にしながら、常にチャレンジしているテイカ製薬。その思いを受け継ぐ、チャレンジ精神溢れる人材を求めている。

 

女性だからといって、差別されたくない

 

テイカ製薬初の女性執行役員となった武田。現在に至るまでにはさまざまな苦労があったという。武田のキャリアから、テイカ製薬での女性のキャリアについて紐解いてみよう。

 

武田が入社したのは1995年。大学でラットの遺伝子の研究をしていた武田は、修士取得後に地元・富山にある大学に就職したいと、とある教授に相談。すると紹介されたのが、大学での研究者としてのポストではなく、まさかのテイカ製薬だった。

 

「はじめは企業で働くことは全然意識していなかったんですが、紹介してもらったご縁で受けたら合格して。そのままテイカ製薬に入社することになりました」

 

入社後は創薬などを手がける研究部に所属に。そこで武田は、思いも寄らない事態に遭遇したという。

 

「当時、研究部に女性の先輩は1名しかいませんでした。まだテイカ製薬としても女性の活躍を重要視する方針が弱く、そのせいか、私に任せられたのは男性社員のアシスタントのような仕事で。女子大出身で女性社会に生きてきた分、女性であることで差別されることに違和感を覚えました。そこで、環境を変えたいと直談判したんです」

 

当時はまだ男性社会だったテイカ製薬。その環境で武田は自らの手で、自分のキャリアを切り拓くことにした。しかし、研究部で十分に力を発揮しないまま、結婚を機に製造部に異動に。武田にとっては寝耳に水の異動だったとのことだが、与えられた環境で求められる成果を創出。そこで信頼性保証に携わったことからQA関係の仕事に従事するようになり、信頼性保証部の部長に任命された。現在では女性初の執行役員も務めている。

 

「世の中的にも、医薬品の品質問題は大きな課題です。信頼と安全・安心を第一に、お客様を裏切るようなことをしないことが第一だと考えて、日々の業務に取り組んでいます」

 

 

人に任せてみることで、プロジェクトが成功

 

武田にとって一番の転機となったのは、2014年。台湾で販売していた医薬品の不適合が発生したのだ。このままでは会社としての信頼が問われる事態。当時武田は品質部門の課長を務める第一人者であり、なんとかして翌年の査察で信頼を回復する必要があった。全社を挙げた、重大プロジェクトだった。

 

「上司はいたものの、私が一番状況を分かっている人間でした。1年という短い期間でプロジェクトを成功させるため、当時はがむしゃらに働きましたね。『自分にしかできない』という思いのもと、とにかく目の前の仕事に臨みました」

 

だが、到底ひとりでこなせる仕事量ではなかった。昔から作業が早く、他の人の仕事にも率先して取り組むようなタイプだった武田。自分が一番適していると分かりつつも、「人に任せる」という行動に出ざるをえなかった。だがその結果、仕事は順調に進行し、無事にこのプロジェクトは成功。武田にとっても、ほっとした日常が訪れた。

 

「この経験から、マネジメントする立場として、どう人を活かすかも考えるようになりましたね。一人ひとりをみて、それぞれに合った仕事をアサインすることが大事だと分かりました。テイカ製薬はものすごく真面目な人が多いので、メンタル的に厳しくないかも考慮しながら、成長を後押ししています」

 



 

女性でもチャレンジできる環境がある

 

テイカ製薬の中でも、「バリキャリ女性」である武田。だが実は、二児の母でもある。子どもはすでに成人しているとのことだが、小さい頃はキャリアの両立で悩んだこともあったのだろうか。

 

「結婚当初から、子どもが生まれてもずっと働き続けたいと考えていました。ただ、はじめはあまり理解がなくて。男性の上司からは『出張には行けないよね』と言われたことがあります。でも、たまにお母さんがいない日があってもいいですし、飲み会のときに預けられるのであれば1日の出張もなんとかなりますよね。男性の上司も悪気があったわけではないですが、『女性だから』という気遣いが、キャリアを妨げている面もあると感じました」

 

そんな中で自らの意見を伝えながら、キャリアを切り拓いてきた武田。社会的にも女性活躍が叫ばれる中、テイカ製薬で働く女性のキャリアについてどのように考えているか、聞いてみた。

 

「能力で評価される会社になればいいと考えています。ただ、女性は産休や育休で、チャンスを手にできない瞬間がある。そこで男性との差がついてしまうことも事実です。そこは正直なところ、私もどうやって改善していけばいいか、分からないところでもあります。

 

女性には、仕事をがんばりたい時期、育児を大事にしたい時期、両方あると思うんです。子どもを大事にしたい時期は、遠慮無く優先してくれたら良い。でも仕事をがんばりたい時期ならば、周りが全力でサポートします。今はその体制が整った会社になっています」

 

武田は、キャリアに対して遠慮してしまう女性が多いことにも言及する。


 

「家庭と両立できるか不安になって昇級を断ったり、自分は求められていないと勝手に思い込んだりして、自らキャリアを閉ざしてしまう人もいると思うんです。私の部下でも、会社からどれだけ求められているか分からないと悩んでいる人がいました。しかしその部下の話をしっかりと聞いて勇気づけてみると、家庭と両立しながらキャリアを築いていく道へと方向転換したんです。現在のテイカ製薬は、男女ともにチャレンジする機会が与えられる会社です。ぜひチャレンジしてみていただきたいですね。


 

とはいえ、目の前の仕事に悩んでしまうこともあると思います。私自身、自分のキャリアを振り返ると、突然異動になるなど思い通りにいかないこともありました。でもすべて今につながっていると思います。目先のことだけで考えず、長期的な目線で励んでいただきたいですね」

 

女性としてキャリアを切り拓いてきた武田ならではの言葉。ロールモデルが存在するテイカ製薬ならば、そのライフスタイルや思考にあった、自分らしいキャリアを歩めると確信できる。これから武田の後に、どんな素敵な女性社員たちが続いていくのか、楽しみだ。