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多様な魅力をもった社員が集まり、それぞれの個性や強みを活かして活躍しています

金森産業株式会社 / 化学分析

インタビュー記事

更新日 : 2022年05月19日

今回は製造業の未来を支える金森グループの5人の社員に話を聞いた。

 

・金森産業 鋳材部 営業主任 サンドゥハシ トカン さん
・金森産業 塗料部      松村 直樹 さん(マツムラ ナオキ)
・金森産業 薬品部      和田 茉里子 さん(ワダ マリコ)
・カナモリ技販        川脇 樹 さん  (カワワキ タツキ)
・安全性研究センター高岡   村西 恵理花 さん(ムラニシ エリカ)

金森産業株式会社 事業概要

「人と技術をつなぐパートナー」をスローガンに、化学を通じて社会に貢献する金森産業グループ。化学品専門商社の「金森産業」を中心に、エンジニアリングの「カナモリ技販」、環境測定・化学分析の「安全性研究センター」「安全性研究センター高岡」の4社で構成されている。創業以来150年以上かけて培ってきた国内・海外の取引先ネットワークを活かし、技術やサービスのマッチングを通じて取引先のイノベーションを支援している。

 

金森産業は1870年(明治3年)に染料商として創業。2022年現在で創立152年という県内でも類まれな老舗企業だ。「人と技術をつなぐパートナー」というスローガンを掲げ、北陸三県のみならず全国の製造業のお客さまに化学品を届けている。

化学品と一口に言っても、薬品や合成樹脂、塗料など分野によって取り扱う商品はさまざまだ。技術の進歩に応じて新しい商品が開発され、社会の変化によってニーズも変化する。そうした変化を機敏にとらえ、新たなニーズに対して新しい技術を紹介し、取引先のイノベーションの創出を促進している。

 

商社として製品やサービスのマッチングを行うほか、子会社を通じて技術サービスも提供している。安全性研究センターと安全性研究センター高岡では、環境調査や化学分析サービスを通じて安全性を確認し、私たちが暮らす社会に安心をもたらしている。分析結果をレポートするだけでなく、金森産業やカナモリ技販といったグループ会社と共同して予防や対策、改善案までも提案できるのが強みだ。製薬会社向けの分析サービスに注力しており、富山県外だけでなく全国から引き合いがある。

 

カナモリ技販では、機械設備の設計から設置工事、メンテナンスまでを提供している。使い勝手やコストだけでなく、安全性やメンテナンス性を意識した設計で定評があり、リピーターが顧客の大部分を占める。

 

日本で暮らし働く

サンドゥは2009年に来日し富山大学へ進学後、他企業での就労を経て2017年に金森産業へ入社した。
日本語、中国語、英語などの多言語を使えるサンドゥは、語学堪能の強みを生かせる仕事を探していたところ金森産業に出合った。

「商社としてさまざまな商材を国内外に販売しているところに大きな魅力を感じた」ことが入社のきっかけとなった。

そんなサンドゥにとって入社後、一番うれしかった瞬間があったという。

「お客さまに対する礼儀だったりマナーであったりが良いと社員の方々に褒められたときは本当にうれしいです」。
〝日本人よりも日本人らしい〟といわれることが自身にとっての最高の褒め言葉。この言葉をもらう度に誇りと自信を感じ取り、働くことへのモチベーションが一気に高まるという。

鋳物メーカーに鋳物作りに欠かせない資材を納めている部署で営業主任として活躍する一方、家庭では6歳の息子の母親でもあるサンドゥ。
営業というタフな仕事をこなしながら、家庭と仕事を両立できるのは「夫のサポートのおかげ」とのこと。
金森産業では、育児をサポートするために勤務時間短縮制度などを設けているが、サンドゥは自身のキャリアアップのために時短制度は利用せず、フルタイム勤務で業務を行っている。

「夫のサポートがあるとはいえ、早く帰れるように効率的な仕事の進め方を日々考えて実践しています」と自身の成長に意欲的だ。

 

とはいえ、海外育ちのサンドゥにとって、富山暮らしは四苦八苦の連続だ。
「来日時に車の免許を持っていなかったので、それが大変でした。富山は車がないと生活できない地域です」と住み始めたころの生活の難しさを吐露。
ただ、「逆に車があれば、子育てもしやすくリラックスできる自然もたくさんある良い地域です」と現在はその苦労を乗り切ったようだ。

都市部など一部地域に残る外国人に対する偏見や差別も、「富山には私が知る限りありません」とサンドゥ。
「会社の方もご近所の方も優しく、外国人が住みやすい地域だと思います」と強調する。

 

チャレンジングな企業風土

松村は京都の大学を卒業後、関東の会社で4年間勤務し、2021年2月に金森産業に入社した。
関東での仕事は「とにかく通勤がストレスでした。朝、会社に着くころには既にヘトヘトに疲れていました」と当時を振り返る。
金森産業への転職もこのストレスからの開放が理由のひとつだった。

前職の経験を生かし、現在は製品の保護や美観を目的としたコーティング材料を取り扱う塗料部の営業職として活躍している。
「既存顧客先を順番に回るルート営業が主な業務です。福光のバット工場などがお得意さまです」という。

富山県南砺市にある福光地域は大正末期より、高い木工技術を生かした木製バットの生産が盛んだ。
北海道や九州が原材料の主要生産地だったことと販売先の中心が大阪、東京であったため、その中間に位置する富山でバットの生産が徐々に増加。
プロ野球選手も愛用するバットも数多く手掛け、最盛期には10社以上が構え、全国シュア70%を超えた。

現在、木製バットは国内生産30万本程度といわれており、福光地区では5社で20万本が生産されている。「こういった地域の素晴らしい産業に携われることが喜びです」と松村。全国の野球選手を支える仕事にやりがいを感じている。

松村が今、目標としていることは、お客さまからの幅広いニーズに応えるために資格取得などによる自分自身のスキルアップだ。
金森産業では、社員の挑戦をバックアップしてくれる仕組みがある。その中でも特に特徴的な取り組みが〝社内ベンチャー〟の立ち上げだ。

現在、金森産業には進行中、進行予定を合わせると3つのメディアサイトプロジェクトが進行している。薬品部が運営している化学情報サイト「Chematels」、樹脂部が運営しているプラスチック材料データベース「PlaBase」、そして松村が所属している塗料部では今年から塗料の総合データーベースサイト「COATAZ」というサイトを立ち上げる予定だ。

その他にも「社内SNSを立ち上げたい」や「動画投稿サイトのユーチューブで面白いことがしたい」といったアイデアが若手社員から上がってきている。

 

「Chematels」https://chematels.com/

「PlaBase」https://plabase.com/

 

こういった新たな取り組みは、社長の金森をはじめとした経営陣が「失敗を恐れずにさまざまなことにチャレンジしてほしい」というメッセージを常に社員に向け発信していることで起きるムーブメントだ。

 

女性営業職のモデルケースとなりたい

新潟県佐渡市出身の和田は富山大学理学部を卒業後、金森産業に入社した。
今は薬品部で営業職として活躍している。「社長自ら就職合同説明会に参加し説明されていたことが印象的で、インターンシップで社員の皆さまが優しかったこと」が入社の決め手だった。

「理学部の知識も生かせつつ、幅広い業務に携われると思った」ことも入社への気持ちを後押しした。

和田は入社後、「金森産業ではおだやかな社員が多い」と感じたという。
その背景を探ると、「仕事の指導でも厳しい言葉で叱責することはなく、褒めて伸ばす教育スタイルが根付いている」ことだと推測する。

「仕事で困った場合は、その困った仕事を先輩が代わりにやってくれるのではなく、私にやり方をきちんと教えてくれます。商社の営業は段取りがとても重要なのですが、そのやり方について丁寧に教えてくれる」。先輩の入念なサポートが後輩を育てる企業風土を築き上げている。

また、和田は2021年1月に入籍したばかりの新婚でもある。
「夫は同じ富山大学の1つ上の先輩で、山形県出身です」と照れ笑いするが、「もし、妊娠して出産となった場合でも産休、育休を取得し仕事に復帰したい」と仕事への意欲は尽きない。

一方で心配な面もあるという。
「営業は人と人との信頼関係が全て。(妊娠や出産で)約1年間、仕事でブランクを空けることが大丈夫なのかという不安はあります」と打ち明ける。

こうした不安はあるものの和田は前向きだ。
「まだ金森産業では女性営業職で出産・育休から復帰した社員がいないので、私が女性営業職の復職第1号となり、同じような境遇の社員に『大丈夫だよ』と言ってあげれる存在になりたい」と、女性社員ならではの目標を掲げる。

 

互いがフォローする社風

カナモリ技販の川脇は入社2年目の期待の若手だ。
機械科の大学を卒業しカナモリ技販に入社した。
「金森グループの社員は皆さん話やすい雰囲気です。ミスがあった場合に注意はされますが、ネチネチ説教されない所が良い所です」と川脇。
甘い対応とも読み取れるが、ここにも「褒めて伸ばす」という金森産業の育成手法が反映されている。

こうした優しさあふれる雰囲気がグループ間で支え合う企業風土を醸成している。「金森産業でできないことをカナモリ技販がフォローし、逆にカナモリ技販でできないことを金森産業や安全性研究センターがフォローする。こういったお互い助け合う社風も魅力です」と川脇は話す。

まだ若手の川脇にとって当面の目標は「先輩から自立し、一人で仕事ができるようになる」ことだ。

「私も後輩ができたら、今の先輩方のように、丁寧な指導ができる人間になりたい」。
先輩が自分に対し指導してくれた方法をまねて後輩を指導する。こうした好循環が金森グループの強い人材を持続的に作り上げている。

 

リケ女のモデルケースとして

村西は2014年に新卒で金森グループに入社した。
今は安全性研究センター高岡で勤務しており、排水や地下水といった環境水の試験、分析する業務を担う。

「こうなりたいと思う先輩を見つけて、その先輩の良い所を学んでいく」。
これは入社間もない村西が先輩から受けた大切にしているアドバイスだ。試験や分析業務は基本的には一人で完結する仕事が多い。
そんな中でも「困ったことや不安なことを聞くと、イヤな顔せず教えてくれる先輩が多い。歴の長い先輩は多くの知識や技術を持っているので勉強になる」と話す。

カナモリ技販の川脇と同様「先輩の指導方法を後輩が引継ぎ、それをさらに下の代へ伝えていく」。程よい緊張感と分け隔てなく話し合える職場環境が技術継承の潤滑油となっている。

村西は2021年7月に育休から仕事に復帰した〝ママ社員〟でもある。
安全性研究センター高岡で初めての産休と育休を取得した初の事例ということもあり、社長をはじめ、上司や仲間の理解と協力があったという。

「業務がきちんと回るかという不安もありますが、それ以上に会社として『産休・育休の取得を歓迎します』といった空気づくりが助かりました」。
女性社員の働きやすい環境整備を急いでくれた会社側の対応に村西は感謝する。

職場復帰した現在は育休前と同じ安全性研究センター高岡でフルタイムの勤務をこなす。
育休前と同じように働けるかという不安もあったが家族の協力と職場の方々の理解により、仕事と子育ての両立を達成している。

「勤務時間内で終えられるよう仕事をすることを常に考えている」おかげで、効率的な働き方にもつながっているようだ。

また、富山県内には親子で楽しめる多くのスポットがあることも子育てのしやすさをアシストしていると村西は話す。
その中でもお気に入りは、射水市にある豊かな緑と水に囲まれた「太閤山ランド」。乗り物などのアトラクションやプール広場、バーベキューコーナーなど家族連れが楽しめる施設が充実している。

その他、富山湾近く新湊大橋のたもとに位置する「海王丸パーク」や国内外の絵本を約1万冊所蔵する「射水市大島絵本館」は大人も楽しめるスポットとしてよく利用しているという。

 

多種多様な魅力を持った社員が活躍できる環境が整っている金森グループ。変化の著しい現代社会においてこの多様性は大きな武器となる。そんな人材が挑戦しやすく、働きやすいと感じられる職場づくりを目指す。社会や技術の変化を敏感かつ柔軟に捉え、夢の実現に向けて精力的に活動する仲間を募集している。

 

 

※取材中はマスクを外してお話していただきました。