女性一級建築士として
住宅事業部の本川は塩谷建設〝初の女性一級建築士〟だ。
富山県氷見市で高校までを過ごし、京都の大学で建築を学んだ。
大学卒業後は都市部の大手メーカーで本格的な建築ノウハウを身に付けるか、大好きな地元の富山で働くか気持ちが揺れたという。
本格的に就職を考える中で、富山県は地場の建築業者や不動産業が大手よりも優位性があることを知った。

「大手ではなくても、自分のやりたいことができると分かったことで、富山での就職を決意した」
そして、高岡市内のハウスメーカーへ就職。仕事後や休日の時間を利用し猛勉強の末、2018年に一級建築士の資格を取得した。
これを契機に2019年3月に塩谷建設へ転職。
「一級建築士を取得してから扱える建物の幅が広がり、自分自身のスキルアップのために住宅以外の建物の設計に挑戦したいという思いが芽生え、転職を決めた」
自分の実力アップを求め、新たに選んだ職場が塩谷建設だった。
リノベーションされたばかりのスタイリッシュな社屋に印象が強く残った。
「良い意味で、この会社は私がイメージしている従来の建設会社ではないと直感的に感じた」という。
そして、「社長が若くてエネルギッシュだったこと」が決め手になった。
結婚を機に富山へ
住宅事業部で働く放生は、千葉県出身で神奈川県内の大学を卒業後は東京で勤務。
名古屋、大阪へと転勤し都市部が生活の拠点だった。
2021年5月に結婚したのを機に富山へ移住。まったく縁もない田舎でゆっくりと過ごそうとも思ったが、活力ある女性が働ける塩谷建設で働きたいと思った。

「建設業だけでなく、(動画投稿サイトの)ユーチューブを活用したり地域に貢献したり、さまざまな取り組みも魅力だったが、特に働くヒト、女性社員の明るさにひかれた」と放生。取材中に同席していた女性社員たちが「確かにそう」と相づちを打つと、明るい笑い声に包まれた。放生の言葉通り、明るく元気な女性社員が会社を活気づけていると感じさせた。
都市部の生活に慣れていた放生も、今は富山の生活を満喫しているようだ。
特に富山の水の美しさとおいしさには都会にない「特別なもの」と感動する。全国の優れた水環境を選ぶ「名水百選」に、最も多くの河川や採水地が選定されている富山。
「水が良いので、食に関しては全てのものがおいしい」と、都会での生活ではなかなか感じ取れなかった生きる上で欠かせない水へのありがたみを日々、味わっている。
ベトナムから富山へ
塩谷グループでは海外からの採用も広げている。ベトナム出身の女性、チャンが塩谷建設へ入社したきっかけは、2019年9月に塩谷グループが開催したインターンシップへの参加だった。

SHIOTANIグループは宿泊事業も手掛けており、県内の田園地帯に隠れ家的な宿泊施設「柏屋」を運営している。
チャンはインターンシップで柏屋の立ち上げに向けたマーケティング業務を体験した。「柏屋の立ち上げに向け、私に求められていたのは海外の目線で富山県の面白い所を発見することでした」とチャン。
当初は東京や大阪などの都市部で働きたいと思っており、モチベーションは上がらなかった。
しかし自然豊かで、探れば探るほどに魅力が掘り出される富山に魅了された。
SHIOTANIグループに入社したのも「インターンシップの2カ月が最高に楽しかったから」と振り返る。わずか2カ月の富山での暮らしは、当初抱いていた都会で働きたいという思いを180度転換させるほどのインパクトを与えた。
2020年4月にSHIOTANIグループへ入社したチャンは本社で日本語の勉強を兼ねた受け付け業務、広報業務、デザイン業務に携わっている。
そんな彼女が現在、主体となって取り組んでいるのがユーチューブを活用した動画配信だ。
企画から撮影、編集まで担当し、SHIOTANIグループの社内の様子や事業の魅力を映像を通して伝えている。
「社員も協力的で、動画制作はとても楽しい。チャンネル登録お願いします」とチャンがアピールするユーチューブ動画は以下のアドレスを参照。
SHIOTANI TV ⇒ https://www.youtube.com/channel/UCPOo1N__iHZ_NeAeS9uw-2g
富山の良いとこ悪いとこ
それぞれ異なる背景を持つ3人は富山での生活をどのように感じているのか。
「富山は子育てがしやすいイメージがある。都会より子供がのびのび成長できそうな気がする」と話すのは本川。
幼稚舎や小学校に入るための受験が当たり前の都市部で過ごすと子供にストレスを与えるのではないかと危惧する。「うまくレールに乗れる子なら良いが、脱線してしまうと劣等感を持って生きていくことになりそう。また、都会の子育てはお金がかかるイメージがある」と、富山での子育てのしやすさに期待を込める。

都市部での暮らしが長かった放生にとっては、富山での生活は苦手な自動車運転の克服が課題という。
「今は初心者マークをつけ、一生懸命運転の練習をしています。いつか、富山のすてきな場所をドライブしたい」というのが目標だ。
一方で、運転の必要のない懐かしの都市部へもすぐに行けるアクセスの良さも富山の魅力だと指摘する。
「富山は北陸新幹線で東京まで2時間弱、サンダーバードで大阪まで3時間と都市部にもアクセスしやすい場所なのでちょうど良い」とアピールする。
ベトナム出身のチャンにとっては、富山の食が心をわしづかみにして離さない。特にお気に入りはすしとラーメン。「ラーメンは射水市にある『キラリ』、高岡市の『昇竜』が好きで、仕事後によく先輩が連れて行ってくれます」とのこと。
冬の富山の雪景色は、南国のベトナムではめったに見られない幻想的で美しい光景だとチャンは話す。とはいえ、「降りすぎると本当に生活しづらくなる」と、今では県民ならではの不満も吐露するのだった。

SHIOTANIグループの「未来の元気を創造する」というミッションは自社の社員が元気でないと達成できない。
今回取材した女性たちは、間違いなくSHIOTANIグループの元気の源だ。「企業は人なり」という言葉を大切に実践するこの会社は元気な仲間を求めている。
※取材中はマスクを外してお話していただきました。